コロナで日本はどう変わる?タイの措置から見る非常事態宣言後の世界

タイ

1月時点では完全に対岸の火事と考えていた新型コロナウイルスが、わずか2か月の間に世界中で人々を死に至らしめています。

最初にコロナが騒がれた中国の武漢は、1月23日に都市を封鎖。何とも大げさな対策だと感じていましたが、その後もコロナは世界中で猛威を振るい、私の住むタイ・バンコクでも、外出の自粛要請、夜間の外出禁止令などが出されているのが現状です。

1月23日の時点で、世界中の都市がロックダウンに近い動きを見せていれば、ここまでコロナが広がることはなかったでしょう。しかし、当時はそんなことを思う国はなかったでしょうし、結果だけを見ると全ての国の対応が後手に回っています。

その中でも対応の遅さが目につくのが日本。

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日本の対応は世界の中で最も遅い

なぜか、新型コロナウイルスの感染者がそこまで拡散していなかった日本。オリンピックがどうこう言ってる間の感染者数の隠蔽(疑惑)や、そもそも検査数が他の国と比べると少なく、実情が数値に現れないことなども、日本人全体のコロナウイルス軽視につながっています。

私は3月後半の時点で、コロナはかなりやばいということを日本にいる複数の友人に繰り返し伝えていました。しかし、返ってくる言葉は全て楽観的なものばかり。

 

花見でうつる?そんなわけないじゃんw

ってかタイ大丈夫なの?危なそう

えっ日本もちゃんと検査してるやん

日本はタイと違って空気が清潔だから大丈夫だよ

 

どういう情報の集め方をしたらこうなるのか理解できませんでしたが、意見が全く違うため関係がギスギスしたり、面倒くさくなって「もういいや」となっていました。

3月下旬まで、オリンピックをどうする?という、とっくに答えが出ている問題でずっと悩んでいる国と、あたかもその感覚を当たり前だとするマスメディアの中で暮らす人々の考えは、そう簡単には覆りません。

しかし、現在日本で連日増加する新規感染者数の数を見れば、日本の対応が如何に遅かったかがわかるはずです。

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日本は今後どうなる?タイ政府の対応から考える

日本が非常事態宣言を出すとか出さないとか、首都封鎖がなんとか、で悩んでいる最中、既にタイでは非常事態宣言が出されており、夜間の外出禁止や、都市によってはロックダウンなどの措置が取られています。

タイでは、1日数千人の新規コロナ感染者を出していたニューヨークがロックダウンするのとほぼ同時期に、デパートをはじめとする施設の閉鎖を実施、さらにその数日後には非常事態宣言を出しています。ちなみに、当時の新規感染者数は1日100人前後。

その効果が表れ始めたと願いたいですが、ここ数日は1日の感染者数が大きく減少しています。

タイのコロナウイルス最新情報参照

細かく見ていくと詰めの甘い措置ではあったものの、まだ被害が少ない時期から批判覚悟でしっかりと対策を講じたプラユット政権は、ゴチャゴチャもたもたやってる安倍政権と比べると結果的に非常に立派。

現段階では、タイにいるより日本にいる方がコロナに感染するリスクは高いでしょう。

以下は、現時点でタイ政府が実施している代表的な措置。

  • 外国人の入国禁止
  • 感染リスクのある施設の閉鎖
  • 夜間外出禁止令
  • 県をまたぐ移動の自粛
  • 都市ごとのロックダウン
  • アルコール販売の禁止

外国人の入国禁止

タイ民間航空局では現在、タイに到着する飛行機の飛行を禁止しています。4月18日までは、原則タイへの行き来は認められていません。

例外的に、本国送還のための旅客機の利用は許可されているため、例えば日本が飛ばす邦人救済便などは利用できるのかもしれません。

タイ日本国大使館 タイ行き航空機の飛行禁止措置参照

タイ発着のフライトについてはコロナによるタイのフライトのキャンセルと日本帰国・タイ入国ルールもあわせてご覧ください。

なお、日本でも、現在は多くの国からの渡航者に入国制限がかけられています(法務省 渡航自粛の要請)。

感染リスクのある施設の閉鎖

タイでは、3月22日から感染のリスクの高い施設が閉鎖されました(閉鎖施設などは在タイ日本国大使館3月21日のお知らせ参照)。

これにより、マッサージや美容院、フィットネスジム、映画館など、個人的にも生活の一部となっている施設の多くが利用不可に。

また、全ての飲食店の店内飲食が禁止になったため、当たり前だったレストランやカフェでの食事が全くできなくなりました。

バンコクのリトル中華街、ホイクワンは半分以上がシャッター街に

3月22日以降も、閉鎖する施設を増やすなど、少しずつ生活に制限がかかってきています。

ちなみに、レストランでの食事はできませんが、持ち帰りとデリバリーは可能。

フードデリバリーのドライバーもソーシャルディスタンス

日本でいうところのウーバーイーツのようなサービスが複数あり、現在はかなりの稼ぎ時とか。

県をまたぐ移動の自粛

施設の閉鎖によって仕事がなくなり、経済的に苦しくなったタイ人は、一斉に田舎に帰ろうとします。バンコクから各都市に、コロナウイルスが拡散した原因の1つと言えるでしょう。

現在は、県をまたぐ移動が禁止されているわけではないものの、他県への移動の自粛は当たり前。県境を中心に、タイ全土の357ヶ所に検問が設けられ、検温やIDの確認などが行われています。

タイ日本国大使館 県境を越えた移動に関する勧告参照

なお、タイの中にはロックダウンしている都市もあり(後述)、都市によっては出入りが禁止されています。

都市ごとのロックダウン

東南アジア有数のリゾート地として有名なプーケット県では、陸路、空路、海路の全てを封鎖。必要物資の運搬業務や医療関係以外はプーケットに入ることができないため、一般人の行き来はできません。

同様に、チョンブリー県パタヤ特別市も、就労者や居住者以外の出入りを禁じる措置を取っています。

どちらも、ビーチがあって開放的な雰囲気が漂うエリアですが、それによって自粛のできない外国人も多く、集団感染のリスクを未然に避けるための措置だと考えられます。

なお、ロックダウンは都市を封鎖する措置であり、外出禁止令とは別物。

夜間外出禁止令

タイ全土で、22時~翌4時は外出が禁止されています。渡航のための空港移動などの例外を除き、一般人は家やホテルの外には出られません。当然コンビニも閉まっています。

夜間外出禁止令を受けコンビニの営業時間も4:00 – 22:00

違反者には、2年未満の禁錮刑、または4万バーツ(13万円程度)未満の罰金,もしくはその双方が科せられます。

タイ日本国大使館 タイ政府による夜間外出禁止令の発表参照

アルコール販売の禁止

4月10日より、バンコクをはじめとする多くの県では、一定期間のアルコール販売を禁止しています。サコンナコン県が3月31日より先んじて実施していた措置ですが、今後も禁止される県が増える可能性があります。

ちなみに、バンコクの販売禁止期間は4月10日~4月20日。ただし、4月30日までに設定している県も多く、それに倣って期限が伸びる可能性も。

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非常事態宣言でも変わっていないことは?

確かに行動の制限はかなりありますが、非常事態宣言下でも最低限の生活は可能。

スーパーで買い物できる

スーパーやコンビニは開いています。夜間外出禁止令のため夜中の営業はできませんが、日中は普通に食料や日用品の購入が可能。

ただし、基本的にはどこのスーパーに入る時にも、非接触型体温計による検温があり、37.5℃以上の人は入れません。

入店時に検温を受ける人々

物品はなくならないので買いだめ不要

今のところは、物流や生産がストップしているわけではないため、物資が不足しているということはなく、日常と同じように日用品、食料などの購入が可能。買いだめをするタイ人もいるものの、現時点では必要なさそうです。

カップラーメンも豊富

例えば、加工食品の工場スタッフがコロナに感染したら、その工場が閉鎖されるというような可能性がないわけではないですが、基本的にはオートメーション化されているはずですし、よほど悪化しない限りは大丈夫だと思われます。

消毒用のアルコールはどこのスーパーでも手に入る

食料自給率が100%を超えるタイだからなのかもしれませんが、実感としてどのジャンルの食料もなくなる気がしません。

交通機関は今のところ使える

タイとラオス、カンボジアなどを繋ぐ長距離バスは、国境閉鎖とともにサービスを停止しています。しかし、県内の公共交通機関は、一部を除き平常運行中。

バンコクでは、BTS(スカイトレイン)、MRT(地下鉄)、路線バスなども普通に動いています。

平日昼間のBTSアソーク駅。利用者が極端に少ない

ただし、移動中のマスク着用が義務付けられており、持っていない者は駅で購入してからサービスを利用することになります。

 

BTS(スカイトレイン)の一部の駅の構内にできたマスクショップ。

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今後の日本で起こり得る事態

既に外出禁止令を敢行している国々では、日常との環境の違いにより、様々な問題が生じています。他国から数週間遅れの日本でも、類似した問題が発生する可能性があるのに加え、日本のコロナに対する中途半端な措置が独自の問題を引き起こすかもしれません。

髪の長い人の大量発生

個人的に最も困っているのが散髪。濃厚接触の可能性がある施設の閉鎖に伴い、タイの美容院は全て閉鎖されました。マッサージやスパは絶対にないと困る、というほどのものではないですが、髪の毛は伸びる一方。

バンコクでは3月22日から全ての美容室が閉まっている状態なので、閉鎖直前に髪を切った人でも、そろそろ切りたいと考えている頃では?

不特定多数の髪に触れるはさみやブラシ、また椅子などからの感染の可能性も十分にあるため、理にかなった閉鎖ですが非常に困ります。

日本では、美容院は非常事態の制限の対象となっていますが、感染者が増え続けた場合はどうなるかわかりません。

外出自粛による家庭内の問題

外出禁止令が敷かれているフランスや、いち早くコロナウイルスが広まった中国では、家庭内トラブルが多発しています。

プライベートな時間を持てなくなることによるストレスや、仕事がなくなる、または収入が減ることによる不安などから、DVが増加。

日本でもテレワーク化が少しずつ進み、今までは家にいなかった夫が常に家にいる、という家庭が増えるでしょう。また、保育園にいるはずの子供の世話をしなければならないような家庭もあるはずです。

夫婦ともに一人の時間が持てなくなり、それが家庭内を居心地の悪いものにしてしまうかもしれません。まさか自分たちは大丈夫だ、と思う人も多いかもしれませんが、相談窓口を家族で事前に確認しておくなど、家族の1人1人が避難経路を確保しておくのが望ましいです。

コロナ疲れの人が大量発生

日本も一時経験したコロナ疲れ。しかし、今後は前回よりもさらに長い期間、自粛に耐えることになります。明確にいつまで自粛、というのがわからないため、不安やストレスを抱える人も多いはず。

タイでは、罰則があるということがわかっているにもかかわらず、初日から数十人の逮捕者が出ており、その後もドラッグパーティーで捕まるグループが連日ニュースで報道されています。

The Thaiger(英語)参照

外出禁止令関係なく、日本とは違ってできるだけ家にいよう「#Stay Home」が社会的に浸透しており、正直なところ、自粛に耐えられず、はしゃぎたくなる気持ちは何となく理解できます。

普段から引きこもりがちの私でさえ、人と話す、人のぬくもりを感じる、というのは生活の中に当たり前にあったんだと実感。外に出ないと近所の人やカフェの店員などと話す機会さえ皆無のため、変な意味でなく人肌恋しいです。

何となく気分が悪くなる人増加

#Stay Homeが一般化した場合、1日中家から出ないという人も増加します。特に定時の仕事がない人、やることのない大学生などは、好きな時間に起きて、好きな時間に食べて、という日常が続く可能性も。

家にいると、ちょっとした歩行のような運動さえもしなくなり、体が疲れず夜に眠たくなくなります。また、喫煙者は家にずっといるとタバコが増えるケースが多いようです。

わかりきったことですが、生活習慣の乱れ、運動不足、暴飲暴食、喫煙や飲酒の増加は、体調不良につながります。ただの体調不良でも、コロナでは?と疑うようになり、それによってさらに症状が悪くなることもあるかもしれません。

コロナでない可能性も高いため、それで病院に行ってしまうと、そこでコロナに感染しやすくなります。抵抗力が落ちていると、より感染しやすくなるので、すぐに病院に行くのではなく、いったん様子見をするというのが正しい策なのかもしれません。

強制力のないただの要請

日本ではこれが一番問題。政府が国民に強く言えず、基本的には全てが自粛要請となってしまうことが、ダラダラとコロナ感染者を増やし続け、医療崩壊を導きます。

タイでも外出禁止の時間帯に外に出ると、4万バーツ(13万円)の罰金。事実上の軍事独裁制政権だから強制力があるというわけではなく、フランスやアメリカなどでも罰則を科しています。

厳しい罰があるとわかっているタイでさえ、軽率な行動をとる人間がたくさん出てきています。それを考えると、日本の自粛要請は非常に甘く、大きな効果は期待できない中途半端な措置になってしまう可能性も。

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Withコロナを生きるタイ人

完全に消滅させるのが難しいコロナウイルス。今後は、コロナと共存して生きていくことになるのかもしれません。

自作マスクの利用・販売

日本では、コロナを楽観視する人が多い一方で、転売ヤーによるマスクの買い占めで市場からマスクがなくなりました。

マスクでは小さなコロナウイルスを防ぐことはできないため、着用していても感染する時は感染しますが、少なくとも口元を直接触る機会が減少するので、無意識に口を触って感染してしまうリスクを大幅に減らしてくれます。

また、自身がキャリアだった場合の飛沫感染の予防にもつながります。数に余裕があるのであれば、マスクを着用するにこしたことがないのです。

タイでは、多くの人が布マスクを自ら作り、それを売る人、お店などが増加。こんな時にも悲観的にならず、商売につなげる生き様は称賛に値します。

4枚入りの紙マスクを10バーツ(約30円)でゲリラ的に販売

手作りのものだけでなく、ちゃんとしたマスクを仕入れて低価格で販売したり、消毒用アルコールを無料で配ったりといった光景も目にします。

4枚入り10バーツのマスク

無料で食事を提供する飲食店

複数の施設の閉鎖によって、収入がなくなる、または減少することで、田舎に戻る人が増加しました。故郷の大切な人を感染させたくないと留まった人、もしくは逃げ遅れた人の中には、現在のバンコクでひもじい思いをしている人も。

収入がなく家賃も払えるかわからないという状況は、コロナに感染するのと同じくらい不安。

タイには、誰もが苦しいこの状況下で、本当に食べることができない人のために無料で食事を提供するお店がたくさんあります。

クルンテープ トゥラキット(タイ語)参照

長くなるので訳しませんが、困窮する人々に無償で食事を配る様は、久しくタイで感じていなかった、タイの人々の本来の優しさを思い出させてくれた気がしました。

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日本人が今後するべき対策とは?

邦人がタイにいた方がいいのか、というのとはまた別の話ですが、上述したように、現段階ではタイよりも日本にいた方が、コロナにかかるリスクがどう考えても高いです。

大きな措置を取った後でも、しばらくは思ったような効果が得られないのは、各国のデータを見てもわかりきっているため、数を操作しない限り、日本の感染者数がすぐに減ることはありません。

もはやコロナは対岸の火事ではなく、海を簡単にわたって日本で増殖しまくっているのです。国がちゃんと対策を取らないから、と文句を言っている間にコロナにかかってしまいます。

タイのニュースはアメリカやフランスほどインパクトがなく、日本にいる日本人の心には届きにくいかもしれません。せめて、ニューヨークの現状をしっかりと受け止め、一人一人がニューヨーカーが今現在講じている対策をすぐに実行するくらいの気持ちを持つべきです。

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タイ保健省(タイ語)

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